前回の記事では、PCママサロンから始まったICTサポートの原点をご紹介しました。
その後、ICT支援は大きく進化していきます。
その舞台となった現場のリアルをご紹介します。
当時放送大学にいらした 堀田龍也 先生にお声がけいただき、文部科学省「学校のICT化のサポート体制の在り方に関する検討会」に代表が構成委員(2007年10月~2008年3月)として参加する機会もいただきました。
ICT支援員の現状や課題、今後の活用方法について発表し、教育の情報化にはICT支援員のようなサポート役が不可欠であることを強く訴えてきました。
フューチャースクールにおけるICT支援
2010年ごろから、総務省の「フューチャースクール推進事業」が始まりました。東京の実証校であった葛飾区立本田小学校に、当社からICT支援員を派遣し、授業でのICT活用の実証に関わりました。
翌年には文部科学省の「学びのイノベーション事業」もスタートし、普通教室に電子黒板と1人1台のタブレットが導入され、授業での活用方法の実証研究が進められました。これまでパソコン教室での活用が中心だったICTは、普通教室で日常的に使われる存在へと大きく変化していきました。
ICT支援員の業務で最も重要だと考えていたのは、「授業を止めないこと」です。
タブレットやネットワークに不具合が起きても授業を継続できるよう、授業前の準備、授業中の対応、授業後の振り返りを徹底し、先生とともに改善を重ねていきました。その結果、ICTを活用した授業は目まぐるしく進化していきました。
また、普通教室でのICT支援において重要なのは、ICT支援員は主役ではなく“黒子”であるということです。
授業の主役は先生と子どもたち。
ICT支援員はその学びを支える存在として、どのように関わるべきかを現場の中で学び続けてきました。
1万台導入とICT支援の進化
2014年9月から、東京都荒川区の小中学校全校に約12,000台のタブレットが導入され、運用がスタートしました。当社では、前年のモデル校の実証段階からICTサポートに関わらせていただきました。
大規模なプロジェクトであったため、地域ごとにICT支援員をまとめるリーダーを配置し、その上に全体を統括するICTコーディネータを置く体制を構築しました。
しかし運用当初は、各学校からの問い合わせが集中し、ICTコーディネータの携帯は鳴りやまず、メールも1日100通を超える状況となりました。
このままでは現場が混乱し、ICTが活用されないという事態になりかねない——そんな危機感がありました。
そこで活用したのが、ICT支援員の情報共有アプリ「ほうれんそう名人」です。


ICT支援員が日々の報連相を入力し、ICTコーディネータがそれを確認・コメントし、必要な情報を全体に共有する仕組みを構築しました。これにより、現場の課題を可視化し、迅速に対応できる体制が整いました。
また、ICTコーディネータは支援員の育成にも力を入れ、現場で培ったノウハウを「ICT支援員必須 39のメソッド」と「ICT支援員の本当にあった怖い話」の冊子としてまとめ、研修で活用しました。
学校では、ビジネスマナーだけを知っていればよいというわけではありません。先生や子どもたちとの接し方、学校特有のルールに対応していくことが求められます。
こうした現場での経験をもとに、実践的なノウハウとして体系化していきました。


こうした取り組みが、現場力の底上げにつながっていきました。
ICT支援の現場はさらに進化し、GIGAスクール構想へとつながっていきます。
その変化と新たな取り組みについては、次の記事「GIGAスクールからEdTechへ|ICT支援の進化と情報共有サイトによる新しい支援のかたち」でご紹介します。